はきだめ

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<アイドル>あれと、神は仰られた - 草野 原々『最後にして最初のアイドル』

草野 原々『最後にして最初のアイドル』

とりあえず何か書こうと思って買ったままkindleアプリに積んであったこいつを開いた
読了後、僕にどうしろというんだと途方に暮れる他なかった
本書はハードSFというジャンルに分類されるらしい
が、例によって多方から影響を受けているその原作を知らないのでただただ用語の奔流に圧倒されるのみであった
漢字とカタカナが混在した単語を理解するので手一杯なのに話自体が読み解けるわけないだろ、いい加減にしろ
こんなもん最初に選ぶんじゃなかった



もとがあの鈍器じみたラブライブSF合同誌のにこまきっつーから宗教上の理由により敬遠してたけど中身を見たらどうでもよくなった
重要なのは主人公のアイドルへの羨望、結末に至るための道の始点としての機能であって、関係を主体においているわけじゃなかったというわけだ
あえて言うなら、突き抜けきったカオス系のSSの一種とでもすればいいだろうか、ともかく話の本スジは関係ではなく<アイドル>そのものだ
アイドルとは何か。歌って踊って笑顔を振りまく存在だ。少なくとも僕はそう思っていた
だがこの本の筆者が言うところの<アイドル>はそうではないらしい
<アイドル>とは何か。過酷な世界を生き抜くために戦う存在である
<アイドル>とは何か。ファンのためにその身を尽くす存在である
<アイドル>とは何か。方方を渡り歩きその名を売り出す存在である

<アイドル>とは何か。人が人として成るための概念である

むちゃくちゃだあ



えいやと投げたボールがバットに当たる前にトラックと交通事故を起こしたようなぶっ飛び具合
雪崩れ込む工学的SF用語の濁流に抗う自信がなくても流されるまま話を追うだけで目眩が起こせる親切さ
プロパガンダじみたラストに乾いた一笑を付せばきみも<アイドル>
やったぜ



もう百合ってことにしといてやるから勘弁してくれ